この春休みは本当にいろいろなことがありました。僕は2月の終わりの2週間ばかり中国にひとり旅に行きましたし、3月11日には大きな災害がありました。4月に入ってからも新入生歓迎会があり、本当に充実していたと思います。
その傍らで稽古をするのはなかなか大変でしたが、それもそれで良い想い出です。
ところで、僕が脚本演出をしたのはこれで3回目になりました。09年度新春公演、10年度夏公演、そして今回です。
まず、『僕らは明け方の夢を見る』。ここでは、存在に対する疑問というのがありました。離れ離れになってしまった僕たちはどこかで繋がっていることができるのかどうかということです。「存在を信じることが、存在そのものである」と考えました。実はこの頃、別れた彼女を思う気持ちになっていたりいなかったりします。
そして次に、『星降るシャンパンの夜に』。抱きしめられなければ存在ではないとしてみました。このころから「言葉」に対していろいろ考えるようになりました。それというのも、僕の留学が重なったり、外国人の友達が多くできたりして、言葉を越えたところでのコミュニケーションというのが可能なんじゃないかと気が付いたからです。つまり、言葉を介さないコミュニケーションこそが真のコミュニケーションなのかもしれないと思ったのです。伝える気持ちに少しの減衰もないコミュニケーションを目指したのです。このときは、恋愛前のふたりの気持ちになっていたりいなかったりします。
そして今回『グッドバイ』です。別れることの肯定です。離れてもその存在は存在であり続けるのかと考えて、やはり抱きしめられなくては存在ではないだろうと思いついて、しかし、とにもかくにも別れはやがて来るのだということに気が付いたのでした。だから別れを恐れてはいけないんじゃなかと、そう思ったのです。僕が書いたものの中でいちばん爽やかというか、リアルだと思います。僕はファンタジー作家ですから。そしてこれはたぶん、別れる寸前のカップルの気持ちだったりそうじゃなかったりします。
ここまで来て、あと残っているのは、「付き合っているとき、まさにそのとき」だったりそうじゃなかったりします。でも僕は5年間の青春を、フルスイングで芝居に放り投げた男なので、付き合っているときの気持ちなんて分かるわけがげふんげふん。
彼女、募集中です。
あと今回、実はいつもと違う書き方をしています。だから、演出もいつもと少しだけ違います。今回観に来てくれて「ああ、この人はこういう芝居を作るんだ」と思われた方、残念です。いつもはもっと不条理で不可解な芝居を作ります。はっはっはっ。
それでも、「僕らしい」「僕らしくない」と意見が真っ向から対立する作品となりました。それでいいと思います。感じ方は人それぞれですから。相反する意見が同時に存在するなんて、極めて演劇らしくていいと思います。
続きにごあいさつ(演出挨拶)も付け足しておきます。なんだか「地震に気をつけましょう」みたいになってしまっていますが、僕のメンタルの弱さをよく表していますね。
今回、多くの人に足を運んでいただいて本当に嬉しかったです。ありがとうございました。今後もよろしくおねがいします。
それでは、次は劇団パンダデパートの夏公演でお会いしましょう。
でわでわぁ

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